もしかしてあなたも不眠症!?
梅雨らしいじめじめした季節になってきましたね。
昼夜問わず暑くて過ごしにくい時期になってしまいました。
こんな時期でも子ども達は元気いっぱいで、私はそれに付き合い子どもとの体力勝負を日々繰り広げています。
日中元気に動けるように夜はしっかり眠りたいところですが、自分自身も目が冴えてなかなか寝付けなかったりと不眠症状に悩まされることが多いです。
今回は、多くの人が経験したことがあるであろう「不眠症」の話をしたいと思います。
不眠症とは
不眠症とは、睡眠障害国際分類第3版では「1)適切な睡眠環境であるが、2)夜間睡眠の開始と持続、安定性、質に持続的に障害を認め、3)その結果、日中の機能障害をきたすもの」と定義されています。
分かりやすく言い換えると「眠れる環境にあるのに、しっかりと満足するまで眠れない、その結果日中の生活に支障をきたしている状態のこと」です。
「眠れない」「寝つきが悪い」「途中で起きてしまう」などいわゆる不眠症状に悩まされている日本人は成人でおよそ30%以上もいると言われています。
行事やプレッシャーのかかる仕事の前、環境の変化、生活リズムの変化など一時的な理由が原因で自然に改善するものであれば大きな問題にはなりませんが、慢性化した場合は適切な治療を受けないと回復しにくいといわれています。
症状が続くと日中の眠気や全身のだるさ、集中力の低下、うつっぽくなったり不安が強くなったりなど、身体的にも精神的にも不調をきたしやすくなります。
不眠症状について
不眠症状とは読んで字の如く、不眠症の症状のことです。
ですが、不眠症以外の病気でも不眠症状が出ることがあります。
大きく4つのタイプに分けられます。
1. 入眠障害
布団に入ってから眠るまでに長い時間かかってしまうことを言います。
不眠症の中で最も多いタイプです。
一般的に布団に入った後30分程度で入眠すると言われていますが、入眠障害の場合、1〜2時間たっても入眠できなくなります。
時間はあくまで目安ですが「寝つけないことによって生活に支障が出たり、苦痛に思っている」状態は入眠困難と言います。
2. 中途覚醒
睡眠中に何度も目覚めてしまうことを言います。
夜間頻尿や睡眠時無呼吸症候群といった病気によることもあります。
歳を取ると深い眠りのノンレム睡眠が減り、浅い眠りのレム睡眠が増えるので高齢者がなりやすい不眠のタイプです。
3. 早朝覚醒
予定の時間よりもずっと早く目が覚めてしまうことを言います。
「自分が起きようと思う時間よりも早く起きてしまい睡眠の満足感が得られない状態」のことを指します。
うつ病でも見られますし、体内時計の変化した高齢者にも多いタイプです。
4. 熟眠障害
睡眠時間は確保できているのに、眠りが浅く、寝た気がしないというタイプです。
睡眠は量よりも質が大切と言われており、熟眠障害は睡眠の質が悪い時に起こりやすいです。
睡眠が途中で中断されたり、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れていることもあります。
不眠症状は同時に複数現れることもあります。
不眠症の診断
不眠症の診断をするには、同じように不眠症状を起こす以下のような他の病気が隠れていないかを確認することが大切です。
- うつ病
- 睡眠時無呼吸症候群
- レストレスレッグス症候群
- レム睡眠行動障害
- ナルコレプシー
- 概日リズム睡眠障害
頻度的にも多いのがうつ病です。
不眠に加えて食欲の低下があったり、今まで楽しかったものを楽しめないなど、うつ病の可能性がある場合は精神科や心療内科への受診をするようにしましょう。
これらの病気がベースにある場合、病気の治療を行うことで不眠症状が改善されることがあります。
その他、身体疾患(痛みや皮膚の痒み、頻尿など)による不眠症状は身体疾患の治療が必要です。
ステロイドや抗パーキンソン病薬、一部の降圧薬でも不眠症状が出現することがあります。
これらの病気がないと判断された際に「不眠症」と診断されます。
不眠症の治療
1. 非薬物療法
睡眠衛生指導がこれにあてはまります。
良質な睡眠を確保するために、睡眠に関する適切な知識を持ち、⽣活を改善するための指導法のことです。
すぐトライできる内容で、難しいことはないので、不眠症に悩まれている方はまずはこちらから試してみることをお勧めします。
- 定期的な運動
なるべく定期的に運動しましょう。
適度な有酸素運動をすれば寝つきやすくなり、睡眠が深くなるでしょう。
- 寝室環境
快適な寝室環境を作りましょう。
夜間の音が気にならないようにドアをきっちり閉める、眩しくないように遮光カーテンを⽤いるなどの対策も⼿助けとなります。
寝室を快適な温度に保ちましょう。
暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠の妨げとなります。
- 規則正しい⾷⽣活
規則正しい⾷⽣活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。
空腹で寝ると睡眠は妨げられます。
布団に入る前に軽⾷(特に炭⽔化物)をとると睡眠の助けになることがあります。
脂っこいものや胃もたれする⾷べ物を就寝前に摂るのは避けましょう。
- 就寝前の⽔分
就寝前に⽔分を取りすぎないようにしましょう。
夜中のトイレ回数が減ります。
- 就寝前のカフェイン
夕方からカフェインの入った飲料や食べ物(コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなど)はとらないようにしましょう。
寝つきにくくなったり、夜中に⽬が覚めやすくなったり、睡眠が浅くなったりします。
- 就寝前のお酒
アルコールを飲むと⼀時的に寝つきが良くなりますが、夜中に⽬が覚めやすくなります。
睡眠の質も悪くなってしまいます。
- 就寝前の喫煙
夜は喫煙を避けましょう。
ニコチンには精神刺激作⽤があります。
眠れなくても、タバコを吸わないようにしましょう。
- 寝床での考え事
⼼配事を抱えながら布団に入ると寝つくのが難しくなり、浅い眠りになってしまいます。
⾃分の問題に取り組んだり、翌⽇の⾏動について計画したりするのは、翌⽇にしましょう。
2. 薬物療法
非薬物療法で改善に乏しい場合は薬の使用も検討していきます。
睡眠薬は効果の持続時間で、
- 超短時間型(2〜4時間)
- 短時間型(6〜12時間)
- 中間型(12〜24時間)
- 長時間型(24時間以上)
に分けられます。
不眠症状のパターンに合わせて薬を使い分けます。
入眠困難には超短時間型や短時間型、早朝覚醒には短時間型や中間型というように処方されます。
日本で処方可能な薬は以下に分けられます。
脳の活動を抑制する睡眠薬
- 非ベンゾジアゼピン系
超短時間型:マイスリー・アモバン・ルネスタ
- ベンゾジアゼピン系
超短時間型:ハルシオン
短時間型:デパス・レンドルミン・リスミー・エバミール(ロラメット)
中間型:サイレース・ユーロジン・ベンザリン(ネルボン)・ドラール
長時間型:ダルメート・ソメリン
これらは脳内のGABA受容体に作用し、GABAの働きを強めます(GABA:脳や脊髄で精神を安定させる抑制性の神経伝達物質のこと。)
神経活動を抑えることで催眠作用をもたらします。
強制的に脳がシャットダウンするイメージでしょうか。
ベンゾジアゼピン系は「筋弛緩作用・抗不安作用」があり、「耐性がつきやすく依存性が強い」お薬です。
筋弛緩作用のために睡眠時の無呼吸を誘発してしまうこともあり注意が必要です。
また高齢者が使用するとせん妄になることもあり、近年では不眠症の治療で使われることは少なくなっています。
非ベンゾジアゼピン系は比較的耐性もつきにくく、筋弛緩作用も少ないので、睡眠にしぼって作用する薬になります。
超短時間作用型に分類されるので、効き目は2〜4時間ほど、入眠困難に使用されます。
こちらも作用時間が短く、切れ味が良いため、「これがないと眠れない」と、精神的にお薬に依存してしまわないように、漫然と内服しないように気をつけましょう。
ベンゾジアゼピン系も非ベンゾジアゼピン系も短期間の使用に留めておきたい薬のため、30日までの処方制限がある薬です。
自然な眠気を強める睡眠薬
- メラトニン受容体作動薬:ロゼレム(超短時間型)
- オレキシン受容体拮抗薬:ベルソムラ・デエビゴ
メラトニン受容体作動薬は体内時計のリズムを整えているメラトニンというホルモンに働きかけることで、オレキシン受容体拮抗薬は覚醒の維持に重要な物質であるオレキシンの働きをブロックすることで、睡眠状態を促すお薬になります。
本来の睡眠・覚醒のリズムを整える薬なので効果は人によって異なります。
依存性は少なく、中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害にも効果があります。
強制的に脳の活動を抑える薬に比べて入眠困難に対しての効き目はマイルドです。
そのためせん妄にはなりにくい薬です。
どちらも副作用として頭痛の頻度が高く、オレキシン受容体拮抗薬は悪夢・金縛りが出現することがあります。
またロゼレムは効果が出るまで2-4週間ほどかかりますので即効性がある薬ではありません。
いかがでしたでしょうか。
眠れない日々が続くと「また今夜も眠れないかもしれない」と不安になり、焦れば焦るほど目がさえてしまうことにもなりかねません。
不眠が続くうちに寝室に向かうだけで緊張してしまい、夜になるのが憂うつになってきます。
「どうせいつかは眠くなるのだから、眠くなるまで起きていよう」くらいに割り切ったほうが、かえって眠れることもあります。
一時的に薬を使って、眠れたという成功体験を積み重ねることも不眠症の改善に繋がると思います。
1人で思い悩まずにまずはかかりつけの医師に相談してみましょう。
それでは、また。
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