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他人事ではない!?認知症

[2024.09.14]

2024年現在、日本は世界随一の長寿大国です。

 

そんな日本で身近な病気、誰もがなりうる病気とはなんでしょうか。

 

そうです、認知症です。

 

年齢とともに認知症の人の割合は増え、70歳を超えるとおよそ10%の人が、80歳を超えるとおよそ30%の人が、90歳を超えると少なくとも過半数が認知症と診断されています。

 

また、認知症と診断される人数(絶対数)や、高齢者に占める認知症の人の割合は、今後どんどん上がっていくと言われています。

 

 

我々にとってとても身近な病気、認知症について何回かに分けて解説します。

 

まずは認知症とは何か?どのように診断されるか?など、ざっくりと認知症全般についてお話します。

 

 

認知症とは?

認知症とは、「一度獲得した知的機能が脳の障害によってだんだんと低下し、そのために生活に支障を来すようになった状態のこと」です。

 

単なる物忘れとは区別されます。

 

物忘れの場合、人や物の名前、昨日の夕食の献立など、断片的な記憶を忘れる傾向があります。

 

何かヒントがあると思い出すこともあります。

 

一方で、認知症の場合は、「記憶障害」と言って、自分の経験した出来事そのものをすっぽりと忘れるのが特徴です。

 

新しいことを覚えられない最近の出来事を思い出せない今まで通っていた道なのに迷ってしまう、こういった症状は認知症の可能性があります。

 

徘徊するお婆さんのイラスト(認知症)

 

認知症が進んでくると、大きく3つの症状が出てきます。

 

1. 中核症状:記憶障害など

2. 周辺症状(BPSD):幻覚や妄想、暴言暴力、徘徊など

3. 生活機能障害:いままでやっていた日常生活動作ができなくなるなど

 

それぞれ簡単に説明します。

 

中核症状

「中核」という言葉の通り、認知症のメインの症状です。

 

いくつかの症状をまとめて中核症状と言いますが、まずは冒頭にも少し触れた記憶障害が代表的です。

 

生理的な物忘れと厳密には区別されますが、区別するのはなかなか難しいと感じます。

 

認知症の場合は物忘れだけでなく、以下の症状も中核症状として出てきます。

 

失語

モノの名前や人の名前などがサッと出てこず「あれ、それ、これ」などと言う、会話の中で必要な単語が思い出せなくなる

 

失読・失書

文字を読むこと、書くことができなくなる

 

失行

指示された動作ができなくなる

 

失認

見たモノがわからない、人の顔がわからない

 

構成障害

時計の絵などの図形模写ができない

 

注意障害・判断障害

寝ていることが多くなったり、作業を長く続けられない、テレビをつけていると人の声が聞き取りにくくなる

 

意欲の低下

無気力、うつのようになってしまう

 

情動障害

怒りっぽくなる

 

認知症のタイプによってどの症状が出やすいかが違ってきます。

 

例えばアルツハイマー型認知症の初期は記憶障害が主症状となりますし、前頭側頭型認知症というタイプの認知症では情動障害が強く出ることがあります。

 

これらはまた別の機会で細かくお話しします。

 

周辺症状

中核症状に加えて、いろいろな行動面・心理面での異常が出てくることがあります。

 

これを「認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)」といいます。

 

通常は認知症の中核症状の後に出現してくることが多いです。

 

代表的な症状としては、暴言暴力叫ぶ興奮昼夜逆転抑うつ徘徊幻覚妄想などです。

 

無気力な人のイラスト(おじいさん)

 

BPSDは、本人のQOLが低下してしまうだけでなく、介護する人にとっても大きな負担になる症状です。

 

生活環境の変化や体の不調、内服している薬によってBPSDがひどくなることもあります。

 

BPSDを悪化させる原因があればそれらを取り除くよう対策をとります。

 

それでも十分によくならない場合は薬の力を借りることもあります。

 

生活機能障害

中核症状・BPSD、と認知症の症状が進んでくると、日常生活に支障をきたすようになってきます。

 

これを「生活機能障害」と言います。

 

一人で歯を磨けないお風呂に入れない薬やお金の管理ができない、以前までは出来ていた仕事や書類整理ができなくなった、など、今まで出来ていたことが思うように出来なくなることが特徴です。

 

歯磨き介助のイラスト

 

 

認知症の診察・診断

では具体的に、どうなったら「認知症」と診断されるのでしょうか?

 

認知症の診断で一番大事なことは、本人と身近な人からのお話です。

 

本人が覚えていない出来事を、家族が鮮明に覚えていることもあります。

 

具体的にいつごろからどんな症状が出てきたのか?日常生活に支障をきたしていないか?持病の有無、内服薬など、詳細に確認していきます。

 

お医者さんのイラスト「問診」

 

その情報を元に、認知症らしいか単なる物忘れか、もしくは他の病気が隠れていないかを推測します。

 

身体診察や、血圧測定、(場合によっては)採血など一般的な検査も併せて行います。

 

そして認知症診療に特徴的な以下の検査も行います。

 

- 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

- ミニメンタルステート検査(MMSE)

 

問診票のイラスト

 

詳細は割愛しますが、長谷川式の検査で出される「さくら・ねこ・でんしゃ」などのフレーズに聞き覚えがある人もいるかもしれません。

 

どちらも認知症の中核症状の有無をチェックする検査になります。

 

他にも時計描画検査やアルツハイマー病評価スケール認知機能下位検査日本版(ADAS-Jcog)などがありますが、それぞれの特徴を活かして、行う検査を使い分けていきます。

 

認知症の診断では、可能な限り頭の画像検査も行います。

 

MRIもしくはCT検査で認知症に特徴的な脳の変化がないかを確認します。

 

MRI・CTスキャンのイラスト(健康診断)

 

例えば、アルツハイマー型認知症は脳の「海馬」と言う部分が萎縮し、病気が進むと大脳全体が萎縮していくので側脳室という脳髄液が溜まる場所が大きく目立つようになります。

 

これらの検査を行うことで、認知症なのか?認知症とするとどのタイプの認知症か?重症度はどのくらいか?を判断していきます。

 

 

さて、今回はここまでです。

 

いかがでしたでしょうか。

 

認知症は単なる物忘れの病気ではなく、進行してくると本人・家族のQOLを著しく下げてしまう病気です。

 

残念ながら今の医学の力では認知症を完治させる治療は見つかっていません。

 

本人・周囲の人がいかに認知症と付き合っていくかが大事になってくると思います。

 

次回以降で、認知症の細かなタイプや、認知症との付き合い方、薬物治療などについて知識を深められたらと思います。

 

 

それでは、また。

 

 

 

 

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