心雑音が健診で見つかったら
みなさん、こんにちは。
突然ですが、健診や診察の時、医者が胸に聴診器を当ててじっと何かを聞いていますよね。
何を聞いているのかご存知でしょうか?
正解は、主に心臓の音と、肺の音を聞いています。
今回はその中でも心臓から聞こえる音、「心音」・「心雑音」について解説します。
心音とは
はじめに、「心音」についてです。
心音とは「ドキ、ドキ」という音のことです。
心臓は4つの部屋に分かれて、それぞれの部屋を区切るドアが4枚ついています。
部屋の名前は右心房・右心室・左心房・左心室と言い、ドアの名前は三尖弁・肺動脈弁・僧帽弁・大動脈弁と言います。
心臓の筋肉の動きによってそれぞれの部屋の中に血液が入り、出て行きます。
血液が出て行く時にドアが開き、出て行った後はドアが閉まります。
ドアは上手く作られていて、血液の流れは一方通行になるようになっています。
ドアは2回閉まるタイミングがあり、「ド」「キ」という音が聞こえるタイミングで4枚あるドアが2枚ずつ閉まります。
「ド」「キ」という音は「バタン!」という音と同じと考えてください。
「ド」の音を医学用語で I音 、「キ」の音を II音 と呼んでいます。
I音は心臓の先端部でよく聞くことができて、鈍く低い音、II音は胸骨のあたりで聞くことができて、鋭く高い音です。
通常I音の方がII音よりも大きく聞こえます。
心音は基本的にドアの近くで一番大きく聞こえます。
聴診器で心音を聞くときに医者は何ヶ所か聴診場所を変えていると思います。
これは、どのドアの音に異常があるか?を見極めているのです。
I音の成分
「ドキ」の「ド」の成分です。
これは三尖弁・僧帽弁の閉まる音になります。
心臓の動きが悪くなるとI音が小さく聞こえたり、甲状腺機能亢進症などで血液の流れが早くなると大きく聞こえたりします。
II音の成分
「ドキ」の「キ」の成分です。
これは大動脈弁と肺動脈弁の閉まる音になります。
大動脈弁の音が一番大きく、胸の辺り全体で聞こえます。
肺動脈弁の音は胸骨の左側(第3肋間〜第4肋間)で大きく聞こえます、が大動脈弁よりも大きい音にはなりません。
高血圧を長期間患っている人はII音が通常よりも大きく聞こえることがあります。
また、通常ドアは同時に閉まるのですが、息を吸う時に音が分裂して聞こえることがあります。
これは特に問題はありません。
それ以外の変なタイミングで分裂して聞こえる場合や、II音が異常に大きい場合、小さい場合は心臓の病気を疑います。
III音が聞こえる場合
心音が「ドキッ、ドキッ」というリズムではなく、「たったうっ」「おっかさん」と言ったリズムで聞こえることがあります。
これをIII音と言い、通常は聞こえません。
これは心臓に負担がかかり続けたことで、心室という部屋が病的に大きくなり聞こえる音です。
40歳未満の若い人や妊婦さんなどでは生理的な音として聞こえることもありますが、そうでなければ重篤な心機能低下を疑います。
IV音が聞こえる場合
「うたった」「おとっつぁん」と言ったリズムで聞こえる音です。
こちらは心機能低下の場合にも聞こえますし、ご高齢の方でも聞こえることがあります。
心臓の筋肉が硬くなって広がりにくくなった時や、心臓がぎゅっと収縮した時などに聞かれる音です。
高血圧が続いたことで心臓が疲れてきているサイン(心不全の前兆)のこともあります。
III音やIV音が聞こえたら異常として心臓のエコー検査などを行います。
ここまでが「心音」のお話でした。
「ドキ、ドキ」の中にもいろんな成分が混じっていることがお分かりいただけたでしょうか。
心雑音とは
さて次は「心雑音」についてです。
心雑音とは、「ドキ、ドキ」の合間に聞こえる「シュー」や「ザーッ」と言った音のことです。
「ドキ」という音は心臓の4つの部屋を区切っているドアが閉まる音でした。
ドアの調子が悪かったり、心臓の壁に穴が空いていたり、心臓の壁が異常に狭くなっているせいで血液の流れがおかしくなることなどで心雑音は聞こえます。
こちらも「心音」の異常と同じくあまり気にしなくていいものや、逆に「すぐ心臓の検査をしましょう!」となるものまで様々です。
異常な心雑音を起こす原因はこの4つです。
- 弁膜症
- 一部の心筋症
- 先天性心疾患(生まれつきの心臓病)
- 機能性(無害性)心雑音
上記の他にも貧血や甲状腺機能亢進症・発熱・運動・妊娠などでは心臓に異常がないのに心雑音が聴こえることがあります。
それぞれについて解説していきます
1. 弁膜症
弁膜症は心臓の部屋と部屋の間にあるドアがうまく働かなくなってしまうことで生じます。
ドアがうまく閉まらなくて逆流してしまう(閉鎖不全症と言います)、もしくはドアがうまく開かない(狭窄症と言います)、この2つのどちらかです。
この中でも頻度が高いものは大動脈弁狭窄症や、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症です。
大動脈弁狭窄症では「ド」と「キ」の間にザーッという音が聞こえます。これを「収縮期雑音」と言います。
ダイヤモンド型のように、最初は小さく、次第に大きく、そしてまた小さく音が聞こえます。
大動脈弁の雑音は比較的大きく、広範囲に渡って聞こえます。持続時間も短いのが特徴です。
僧帽弁閉鎖不全症では「ド」と「キ」の間にシャーっという高めの音が聞こえます。
「キ」という音まで続くことが特徴です。心尖部で一番大きく聞こえます。
大動脈弁閉鎖不全症では「ド」と「キ」の「キ」から始まるシャーっという音が聞こえます。
これを「拡張期雑音」と言います。
聴取すれば95%以上の確率で本症と診断され、座位で聞かれやすいと言われています。
比較的ご高齢の方では、軽度〜重度まで様々な重症度の弁膜症の方が多いようです。
日本では75歳以上で約235万人の弁膜症患者さんがいると言われています。
弁膜症は無症状の段階から心雑音が聞こえることが多く、健診で指摘はされたけど症状がないので放置、自覚症状がないまま進行してしまい、心不全の症状が出てきてから病院を受診、といったことも珍しくありません。
2. 一部の心筋症
心臓の筋肉が邪魔をして血液の流れが悪くなる(=心筋症)ことで雑音が聞こえることがあります。
肥大型心筋症では「収縮期雑音」が聞こえます。
3. 先天性心疾患(生まれつきの心臓病)
先天性心疾患とは生まれつき存在する心臓の構造の異常のことです。
その中でも多いのは心臓の中に小さな穴が開いている心房中隔欠損症や心室中隔欠損症です。
心臓の中に穴が存在すると、この穴を通って血流が生まれます。
この血流は異常な流れであり心雑音を起こします。
4. 機能性心雑音
健康なお子さんの10-30%ほどで、心臓の動きが力強いために特に心配しなくてもいい(歳を重ねると自然に聞こえなくなる)心雑音が聞こえることがあります。
これを「機能性心雑音」と言います。
心音・心雑音についてざっと解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?
何が原因で音聞こえているのか?を確認するためには、聴診や身体診察だけでは判断がつかないことが多いので採血や心臓エコー検査などを行う必要があります。
無症状の間に病気が進行していた、ということのならないよう、健診や診察で心音や心雑音の異常を指摘された場合は早めに医療機関受診をおすすめします。
それでは、また。
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