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胃瘻と胃管の違いって?

[2024.09.28]

みんさん、こんにちは。

 

以前、胃瘻(胃ろう)についてこちらのコラムで解説しましたが、胃管については触れていませんでした。

 

胃管とは何でしょうか?

 

胃瘻との違いなどについて、まとめていきたいと思います。

 

 

胃瘻とは

おさらいですが、胃瘻とは、体表から胃に向かって穴を開け、太いチューブを通し、そこから栄養剤や水分、飲み薬を直接胃の中に注入する方法のことを言い、自分の口から食事や飲み物を摂取できなくなった際に、手術によって「造設」するものです。

 

厳密には、食事や飲み物を摂取できなくなってからでは遅いので、そうなりそうとわかった時、もしその希望があれば胃瘻造設手術を行います。

 

 

胃管とは

胃管は、栄養剤や水分、飲み薬を胃の中へ投与する点では胃瘻と同じですが、体表に穴を開けるのではなく、主に鼻から、胃瘻カテーテルより細いチューブを50-70cm程度挿入し、チューブの先端を胃の中に留置するものです。

 

 

 

 

胃瘻と胃管の違い

胃瘻のカテーテルは体表にしっかり固定されていますので、よほどのことがない限り抜け落ちることはありませんが、胃管は鼻から入っているだけですので、テープで鼻や頬に固定はしますが抜こうと思えば患者さん自身が簡単に抜くことができてしまいます。

 

 

胃管は胃瘻と違って鼻、喉を通りますので、その分違和感も強く、高齢で認知症が進んでいる方だと、なかなか理解を得られずに自己抜去してしまうことがあります。

 

また、チューブが細いため、長く使っていると中が詰まってきて使えなくなったり、鼻の中のチューブが接触し続けている部分に潰瘍ができてしまうことがあります。

 

つまり、胃管は長期には使用しにくいのに対し、胃瘻は長期の使用に適しているといえます。

 

胃管はベッドサイドでさくっといつでも挿入できるのに対し、胃瘻は手術で造設するものですので、希望したときにすぐできるとは限らず、針を刺して胃に穴を開けるため出血や創部感染のリスクが伴います。

 

また、術前には色々と検査が必要です。

 

 

胃瘻造設までの流れ

すぐ胃瘻造設手術をしてもらえる場合を除き、自分の口から栄養や水分を取れなければ、まず胃管を入れることになります。

 

胃管を入れ、そこから栄養剤や水分、薬剤を投与し、手術の算段を立て、無事胃瘻造設手術が完了したら、胃管を抜いて胃瘻からの投与に切り替えます。

 

つまり、胃瘻を造設する方はその前に、期間はさまざまですが胃管管理を経験することが多いということです。

 

 

在宅での管理

自宅療養にあたっては、胃管でも胃瘻でもどちらもご対応可能です。

 

ただし、前述の通り胃瘻のほうが安定性が高いため、長期に必要であれば予め病院で胃瘻造設手術を行ってもらったほうが、ご本人・家族・我々医療従事者にとっても安心です。

 

短期であれば胃管でも大丈夫ですが、前述の通り自己抜去や閉塞のリスクがあり、必要に応じてたびたび入れ替える必要があります。

 

胃管は挿入した後、本当はレントゲンで位置の確認をするのが望ましいです。

 

レントゲン写真を見せるお医者さんのイラスト

 

嚥下の機能が落ちている方や咳反射が鈍っている患者さんの場合は、間違って空気の通り道、肺のほうに入ってしまうリスクがあるからです。

 

気道への誤挿入に気づかず栄養や薬剤投与をしてしまうと、気管支の先の方が栄養剤や水分などで詰まり、苦しくなったり酸素の数値が下がったり、ひどい炎症=肺炎を起こしたり、場合によってはそのまま急変してしまうこともあります。

 

肺炎のイラスト

 

病院であればレントゲン装置がありますが、訪問診療だとレントゲン設備を持ってこられないことのほうが多いです。

 

また、訪問医療機関によっては、胃管を再挿入しにすぐに駆けつけられない場合もあるでしょう。

 

再挿入が完了するまでは栄養や薬剤が投与できませんし、そういう意味で在宅での胃管管理は不安定要素が高いといえます。

 

胃瘻でも胃管でも、病院では看護師さんが栄養剤や薬剤の投与を行ってくれますが、自宅退院後はご家族にやっていただく必要があります。

 

最初は慣れないと思いますが、当院では訪問看護事業所と一緒にやり方の指導もしており、すぐ慣れていただけることがほとんどです。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

自分の口から必要な栄養、水分、薬剤の摂取ができなければ、家でも胃瘻や胃管を使ったり、点滴をしたりしながら栄養、水分を補うことができます。

 

ただし、以前のコラムで解説したように、特にご高齢の方の場合には捉え方によっては延命行為とも捉えられますし、自分の口から摂取できなくなったらそれが寿命と考えるという考え方も全く間違っていません。

 

自分の口から摂取できなくなったら必ずやらないといけないもの、ではありません。

 

胃瘻・胃管をはじめ代替栄養などのご希望がある場合、ご家族にとってはこういった医学管理を要しながら自宅で介護する負担は決して軽くないと思いますが、その負担を少しでも減らせるように、ご本人にとっても少しでも快適に自宅で過ごせるように、在宅医療期間をはじめ様々な職種からなる在宅療養チーム皆でサポートしていけたらと思っています。

 

 

それでは、また。

 

 

 

 

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