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腎臓って何をしているの?

[2023.10.11]

こんにちは。

 

今回は私の専門分野である腎臓のお話をさせていただきます。

 

腎臓とは?

腎臓は大人の拳1つ分ほど(10cm×5cm×4cm程度)のサイズのそら豆型の小ぶりな臓器です。

 

腰くらいの高さに左右1つずつついています。

 

重さは120〜150gほどでツルッとしていて可愛らしい臓器です。

よく皆さん勘違いされているのですが、腎臓がある場所は「体の背中側」です。

 

腸などが入っている腹膜のうしろ側、「後腹膜」というところにあります。(余談ですが、尿路結石になると脇腹〜背中〜腰にかけて激痛が走るのはこういった位置関係だからです)

 

横隔膜の下で肋骨に守られ、柔らかい脂肪組織に包まれています。

 

腎臓の上にある副腎(ふくじん)という臓器と一緒にGerota筋膜という膜で覆われて、これらが外からの衝撃を吸収するバリアの役目を果たしてくれています。

 

ちなみに右の腎臓は肝臓に圧迫されるため左腎よりも 2 cm 程度下の方に位置する場合が多いです。

 

腎臓には1分毎に 800〜1000 ml、1 日あたりでは 1200〜1500 Lの血液が循環しており、心臓から送り出される血液の1/4が腎臓に流れ込んでいます。

 

血液は、腹部大動脈から腎臓に入り、「糸球体」と呼ばれる毛細血管に流れます。

糸球体のイラスト

「糸球体」は、細い毛細血管がたくさん毛糸の球のように丸まってできていることからそう呼ばれています。

 

大体0.1mm~0.2mmほどの大きさで、1つの腎臓に約100万個もの糸球体があります。

 

ここで体の中のゴミや水分がろ過されて尿として出ていきます。

 

そしてきれいになった血液が心臓へ戻っていきます。

 

糸球体でろ過された尿は「尿細管」という排水管を通って最終的に腎臓内の尿の出口「腎盂」というところに流れつき、尿管を通って膀胱内に溜まり、外に排泄されます。

 

糸球体が約100万個あって、糸球体1つにつき1本の尿細管がつながっているので腎臓の中には尿細管も100万本ほどあることになります。

 

すごい数ですね。

 

尿が尿細管を流れる間、尿細管の壁を通して尿へ不要なものを出したり、逆に尿の成分で必要なものを再吸収したりと物質のやり取りが盛んに行われています。

 

 

腎臓の役割

腎臓って尿を作るところでしょ?とお思いの方、半分正解です。

 

腎臓は体内の余分な水やゴミを尿として外に出しています。

ゴミ出しのイラスト(男性)

しかし他にもいろいろな役目を果たしています。

 

ここでは腎臓の知られざる働きぶりをご紹介できればと思います。

 

腎臓の役割は大きく分けると5つあります。

 

1. 血液中の老廃物(ゴミ)を「ろ過」する 

2. 体内の水分量・血圧を一定に保つ

3. ミネラルの濃度を調整する

4. ホルモンを産生・調整する

5. 血液中の酸とアルカリのバランスを保つ

 

順番に解説していきます。

 

1. 血液中の老廃物(ゴミ)を「ろ過」する  

体の中では色々なものが老廃物(ゴミ)として血の中に流れています。

 

腎臓に流れ込んだゴミは糸球体でふるいにかけられて、尿中に捨てられます。

 

赤血球やたんぱく質などはろ過されずに、きれいになった血液が腎臓から戻っていきます。

 

2. 体内の水分量・血圧を一定に保つ

皆さんも汗を大量にかいた後は尿の量が少なく、尿の色も濃かったり、逆に飲み物や食べ物でたくさん水分をとった時は薄い尿が大量に出るという経験をされたことがあると思います。

 

このように腎臓は水・塩分(ナトリウム)のバランスを調整することで体内の水分量を一定に保つ仕組みを持っています。

 

また、血圧が低下するとろ過の働きが悪くなってしまうので、血圧が下がると腎臓は「レニン」という物質をつくりだします。

 

このレニンは血管を収縮させるホルモンに働きかけ、血圧を上昇させます。

 

腎臓はこの仕組みによって、血圧を一定に保つといった働きもしています。

 

3. ミネラルの濃度を調整する

ろ過されたばかりの尿には老廃物(ゴミ)以外に、アミノ酸やブドウ糖などの栄養素や、ナトリウム(塩分)やカリウム、リン、マグネシウムなど、さまざまなミネラルも含まれています。

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こういったミネラルは身体にとって必要な分だけ尿細管を通る間に体内に再吸収されていきます。

 

逆に過剰なミネラルは尿中に排泄されます。

 

4. ホルモンを産生・調整する

実は腎臓内ではいくつかのホルモンも作られています。

 

①エリスロポエチン

腎臓は「造血(赤血球を作ること)」にも関わっています。

 

腎臓は赤血球を増やすために、「エリスロポエチン(EPO)」というホルモンを作っています。

 

このエリスロポエチンは骨の内部にある骨髄に働きかけて、赤血球を作る量を調節する作用を持っています。

 

②活性型ビタミンD

腎臓はカルシウムの吸収を助けるために、「活性型ビタミンD」というホルモンを作っています。(※活性型ビタミンDを作るにはまずは食事でビタミンDを摂ることが大切です。ビタミンDはきのこや魚介・卵・乳類にたくさん含まれています

 

活性型ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を促し、骨を丈夫にする働きがあります。

 

5. 血液中の酸とアルカリのバランスを保つ

人の体はpH7.35~7.45程度の「弱アルカリ性」に保たれています。

 

この状態であることで、体内の正常な機能が保たれています。

 

体内では栄養素を体内に取り込む際に酸性物質が作られています。

 

腎臓はこういった酸性物質を外に排出しています。

 

また、重炭酸という酸を中和させるアルカリ物質を再吸収して酸性・アルカリ性のバランスを保っています。

天秤のイラスト(分銅)

腎臓が悪くなった場合はこの5つの働きが悪くなってしまうのでさまざまな症状が起こってきます・・・。

 

そのお話はまた次回以降でさせていただければと思います。

 

 

いかがだったでしょうか。

 

「肝腎要/肝心要(かんじんかなめ)」の言葉もあるように、腎臓は体の中でなくてはならない臓器の一つです。

 

腎臓を悪くしないためには生活習慣病の予防、病気の早期発見・早期治療が第一です。

 

皆様もぜひ日頃の生活から気をつけてみてくださいね。

 

それでは、また。

 

 

 

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