PCAポンプって?
みなさん、こんにちは。
今日は、PCAポンプについてお話しします。
PCAポンプは、在宅では主に悪性腫瘍もしくは心不全の末期状態の疼痛に対して使う、鎮痛剤の点滴のコントロールに使う医療機器になります。
末期状態の疼痛といっても具体的にどういう場合に使うのか、注意点や、ほかの方法などについて解説していきます。
PCAポンプとは
まず「ポンプ」というのは、点滴の滴下速度を調整する医療機器のことをいいます。
1日(1回)500mlとか1000mlとかの点滴を毎時20〜400mlぐらいの速度で投与するときに使う輸液ポンプや、1回20mlとか50mlとか小ぶりの点滴を毎時0.2〜10mlぐらいのより細かい、遅い速度で投与するときに使うシリンジポンプなどがあります。
※ 輸液ポンプ
点滴に使うチューブをポンプという機械に通して、主に電気で動くローラーの力を使って、速度を精密にコントロールするものです。
ポンプなしでも点滴は投与できますが、速度はだいたいになってしまいます。
なので、麻薬のような、投与速度・投与量を細かく設定する薬剤に関しては、ポンプを使う必要があります。
そして「PCA」はPatient Controlled Analgesiaの略で、日本語で「自己調節鎮痛法」といいます。
つまり患者さん自身で自己調節ができる点滴投与速度管理機器、となりますでしょうか。
しかし自己調節といっても、点滴速度を自由に患者さんが変えられるわけではありません。
例えば痛いと思ったときに、あらかじめ設定した量(1時間量など)をプシュっと速やかに早送りして投与できる機能のことを指します。
末期状態の痛みや苦しさは常に一定ではありません。
決まった速度で麻薬の持続投与を行いながら、痛いときには患者さん自身の裁量で、一時的に多めに投与できるというものです。
どういう時に使う?
病院では手術直後の疼痛管理にも使います。
例えば手術が終わって1-2日は痛みが強いことが多いです。
手術終了時からついているPCAポンプを使って、患者さん自身にも痛みのコントロールをしてもらいます。
医療者側から「与える」のみでなく、患者さん自身にも参加してもらうことで、より痛みが軽減できることが知られています。
在宅では主に、悪性腫瘍や心不全の末期状態の疼痛や苦しさに対して使用します。
特に若い患者さんの場合には、痛みや苦しさが出てくることが多く、その程度も高齢者に比べると重いことが多いです。
悪性腫瘍や心不全と関係なく、腰痛や足の痛みがひどい患者さんもいますが、その場合には現状では保険適応にはなっておらず、使用することはできません。
痛み止めの種類
特に悪性腫瘍の場合、痛みのコントロールとしてはまず麻薬でない痛み止めを内服で開始します。
アセトアミノフェンやロキソプロフェンといった一般的に使用する鎮痛剤を1日3回、4回と増やしていき、それでも不十分ならまた別の麻薬でない痛み止めもあります。
それでも痛みが残る場合には麻薬が登場します。
基本的にはまずは飲み薬、飲めない場合には坐薬や貼り薬を使います。
それでもという場合にいよいよ点滴製剤を使います。
もちろんよく効くのですが、患者さんにとっても医療者側にとっても、管理が煩雑になるので、特に在宅では点滴は最後の手段と位置付けられているということです。
フェンタニルやモルヒネといった麻薬を詰めることが多いです。
PCAポンプの使い方
患者さん側から、点滴の針→点滴が通るチューブ→薬液充填部分・ポンプ(機械)、になります。
医師が処方した薬剤の内容で、ポンプに接続する、薬液を貯めておく部分に、薬剤師さんが点滴の薬剤を詰めてくれます。
それを週に1回、もしくはそれ以上の頻度で、持ってきてくれます。
それをポンプ(機械)と、患者さんに入っている点滴の針(皮下や血管内)とに接続し、機械の設定をします。
投与速度(1時間あたり)や、患者さん自身が早送りする1回の量、早送りしてよい時間間隔などを設定して、投与開始になります。
針は一般的な点滴に用いる太さですが、ずっと入れっぱなしにしておけないので、定期的に差し直しが必要です。
痛いときには
痛いときにはボタンを一つ押すだけです。
例えばトイレに動くときに痛みが増強する場合、あらかじめ早送りボタンを押して、数分してから動くようにするなどの対応が可能です。
また、ポンプによっては、ボタンを押した履歴が確認できます。
ボタンを押す頻度によっては、大元の投与速度を早め、より多くの鎮痛剤が入るようにしたほうが痛みのコントロールが改善する場合が多いので、医師はその履歴を確認して投与速度を調整します。
いかがでしたでしょうか?
悪性腫瘍や心不全の末期状態は、一昔前は病院で診るしかありませんでした。
しかし昨今、在宅療養が普及してきており、自宅でも麻薬、注射薬を使った痛みのコントロールができるようになっています。
当院でもPCAポンプのご対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
それでは、また。
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