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高血圧の治療

[2023.08.15]

みなさん、こんにちは。

 

今回も、高血圧についての解説です。

 

前々回は「非薬物療法」と言って、薬に頼らずに血圧を下げる方法についてお話ししましたが、今回は「薬物療法」についてです。

 

高い血圧をそのままにしておくと脳出血や大動脈解離といった、取り返しのつかない病気を発症することがあるので、減塩したり減量したり色々と試してみても血圧が下がらない・・という場合は、薬(降圧薬)を使って血圧を下げる必要があります。

 

 

降圧薬の使い方

 

繰り返しになりますが、薬を使うことの最終目標は「血圧を下げる」ことではなく、「脳梗塞や心筋梗塞といった脳心血管病の発症を予防すること」です。

 

そのためにはしっかり目標値まで血圧を下げることが大事になってきます(もちろん血圧の目標は個人個人で違いますので主治医と相談して決めていきます。)

 

薬はいきなり何種類も飲み始めるのではなく、基本は1種類ずつ、少量から開始していきます。

 

血圧が異常に高くない限り、自宅血圧を基準に数週間〜数ヶ月かけて降圧していきます。

 

 

降圧薬の種類

 

色々な降圧薬がありますが、ここでは高血圧診療ガイド2020に記載されている7種類の降圧薬についてご説明します。

 

薬のイラスト「カプセル・セット」

1)Ca拮抗薬

2)ARB/ACE阻害薬

3)利尿薬

4)β遮断薬

5)MR拮抗薬

6)ARNI

7)その他

 

 

1)Ca拮抗薬(カルシウム拮抗薬)

 

最もポピュラーな薬で、第一選択として使用します。

 

血管平滑筋(動脈の壁)を緩め、血圧を低下させます。

 

長時間作用型のジヒドロピリジン系(アムロジピンやアダラート、ニフェジピンなど)には強力な降圧効果があり、かつ副作用も少ないので高齢の方にもよく使用します。

 

ただし、薬の代謝に影響するため、グレープフルーツジュースや幾つかの薬は同時に摂取できません。

 

また人によっては頭痛・ほてり・むくみ・歯ぐきの腫れといった副作用が出ることもあります。

 

ベンゾジアゼピン系(ヘルベッサー)は降圧効果は弱いですが心臓を栄養する血の流れを良くするため、狭心症が既往にある高血圧の方などに使用することがあります。

 

 

2)ARB(アルドステロン受容体遮断薬)/ACE阻害薬

 

こちらもポピュラーな降圧薬です。第一選択薬としても使用します。

 

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)という体内の血圧を一定に保つための仕組みに作用して血圧を低下させる薬です。

 

心臓や腎臓を守る作用がある(腎臓の血管を緩めることで腎臓への負担を減らすため)一方で、腎不全が進んだ方や、高齢の方が使用すると腎臓をより悪くすることがあるので心配な場合は低用量から慎重に始めます。

 

ACE阻害薬はRAA系だけでなく他の血圧を調整する部位にも効果があるので狭心症発症リスクを減らすと言われています。

 

しかしこちらは副作用として空咳が出やすいと言われており、あえて誤嚥性肺炎の予防のためにこちらを使用するということもあります。

 

咳をしている老人のイラスト

他にもACE阻害薬では全身の浮腫も副作用としてあります。

 

 

3)利尿薬

 

塩分の過剰摂取や心不全合併など、体内に余分な水分が貯留した状態では血圧が高くなりやすいため、体内の水分を尿として出す薬(利尿薬)も使用します。

小便小僧のイラスト

 

利尿薬の中でもサイアザイド系利尿薬(フルイトラン、ヒドロクロロチアジド、ナトリックスなど)はナトリウムの再吸収を抑制することで体内の水分を減らして血圧を低下させます。

 

日本人のように塩分摂取量の多い場合、良い適応で、第一選択薬としても使用します。

 

一方で腎機能が低下している人には効果が期待できません。

 

他にはループ利尿薬など、降圧効果は弱いものの利尿効果の強い薬などを使用することもあります。

 

利尿効果が強い薬になればなるほど万人に使用しにくくなり、電解質の異常や尿酸高値、腎機能悪化といった副作用のリスクが高くなるので慎重に薬の調整を行っていきます。

 

 

4)β遮断薬(アーチスト、メインテート、テノーミンなど)

 

心臓の動きを司る筋肉を緩めてあげることで脈拍数を減らしたり、心収縮を抑えたり、交感神経の働きを抑えることなどにより血圧を低下させる薬です。

 

交感神経が過敏な方や、心不全・頻脈を合併している方などによく使用します。心保護作用があります。

 

気管支喘息を持っている方は喘息発作を誘発する恐れがあるので使用はできません。

 

 

5)MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)

 

腎臓の一部に作用してナトリウムの排泄を促す(他の利尿薬と違って体内のカリウムにはあまり影響しない)薬です。

 

スピロノラクトンやエプレレノン(セララ)などがあります。

 

こちらも心保護効果があり、心不全や心筋梗塞後の方には良く使われます

 

スピロノラクトンには女性化乳房やインポテンツなど、女性では月経痛などの副作用があるので注意が必要です。

 

 

6)ARNI(アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬)

 

最近特に心臓の分野で注目を集めている薬です。

 

RAA系を阻害するARBの成分と、ネプリライシン(利尿や血管拡張に作用するホルモン)を阻害する成分を合わせることで強い降圧作用と利尿作用をもたらす薬です。

 

高血圧の治療だけでなく、特に心臓の動きが悪くなった(心機能が低下した)心不全に対して、心臓を守る効果を発揮します。

 

健康な心臓のキャラクター

 

高血圧だけでなく、慢性心不全と診断された患者さんにも使用できます。

 

ARBの成分が入っているのでARB同様の副作用が懸念されること、2023年8月現在先発品しかないため薬代が高いなどの問題などがあります。

 

 

7)その他の降圧薬

 

ほかにもα遮断薬(交感神経の働きを抑えることで血圧を下げる、起立性低血圧に注意)や直接的レニン阻害薬(ARB/ACE阻害薬が使用できない場合に使用)、主に妊婦に使用する(催奇形性のない)薬(メチルドパ、塩酸ヒドララジン)などがあります。

 

 

このように、色々な降圧薬がありますが、外来では一人一人のお身体の状態に合わせて薬の調整を行っていきます。

 

 

降圧薬の減量と中止

 

血圧は暑いと下がりやすく、寒いと上がりやすい、というように季節変動があります。

 

そのため、夏に血圧が低下する場合は一時的に降圧薬を減量、または中止することがあります。

 

逆に冬になると降圧薬を増やすことも少なくありません。

 

また、血圧が落ち着いたから、と降圧薬の内服を止めてしまった場合、半年以内に血圧が高血圧レベルまで再上昇することが多いと言われています。

 

その為、薬を休薬する場合はその後も引き続き血圧を測っていくことが重要です。

 

基本的には血圧が上がった原因が解消されない限り、降圧薬は続けて内服することが好ましいでしょう。

 

薬の量が多いと管理が大変でついつい飲み忘れてしまう、薬の量を増やしたくない・・といった場合は降圧薬が2剤含まれた合剤も販売されています。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

みなさんが使っている降圧薬は何種類あって、それぞれどういう理由で血圧が下がるようになっているのか、少しでも知識の足しになれば嬉しいです。

 

高血圧の治療においては、ご自身の血圧・降圧治療への関心を高めることが大切です。

 

今回ご紹介した内容はあくまで一部となります。

 

ご自身の使っているお薬のことでわからないこと・心配なことなどがあった場合は何でも主治医に相談してみることをお勧めします。

 

当院への訪問診療のご相談もお待ちしています。

 

それでは、また。

 

 

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