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認知症が予防できる!?

[2024.12.02]

みなさん、こんにちは。

 

寒くなってきましたね。

 

体調を崩されずお過ごしでしょうか。

 

これからインフルエンザコロナをはじめとした呼吸器感染症や感染性胃腸炎などが流行りやすい季節です。

 

手洗いうがいの徹底、ワクチンの予防接種など感染予防に努めていきましょう。

 

松戸駅西口徒歩5分の当院でもご予約受付中です。

 

ワクチン接種の予約のイラスト(電話・おばあさん)

 

さて、今回は前々回同様、認知症についてのお話です。

 

おさらいです。

 

認知症の中でもなる人が多い「三大認知症」は何でしたでしょうか?

 

 

 

そうです。

 

アルツハイマー型認知症血管性認知症レビー小体型認知症でしたね。

 

前回はアルツハイマー型認知症についてお話しました。

 

今回は、「血管性認知症(Vascular dementia; VaD)」についてご説明します。

 

物盗られ妄想のイラスト

 

 

血管性認知症とは?

脳卒中(脳梗塞や脳出血など)が原因で起こる認知症のことです。

 

脳梗塞のイラスト

 

脳は人間のあらゆる体の動きを制御する中枢機能です。

 

血液がたくさん巡ることで、その機能を保っています。

 

脳卒中により血液が減ったり途絶えたりすると脳が破壊されてしまい、破壊された部分が働かなくなってしまいます。

 

その結果、認知症の症状が出ることがあり、それを血管性認知症と言います。

 

日本では老年期に起こる認知症の20-30%を占めるとされています。

 

脳卒中になりやすい人(=高血圧・糖尿病・脂質異常症・メタボなどの生活習慣病や、喫煙習慣などがある方)に発症しやすい病気です。

 

高カロリーな食事のイラスト(生活習慣病)

 

大きい血管が詰まったり、広い範囲が傷んだ場合は症状も重くなることが多いです。

 

逆に狭い範囲が傷んだ場合は「最近なにかおかしいと思って医者に調べてもらったら、自分では気が付かないうちに脳卒中・血管性認知症になっていた」というくらい症状が軽いこともあります。

 

日本人にはこの初期症状が軽い「小血管病変型」のタイプが多いと言われています。

 

このタイプは時間を置いて別の血管が詰まることもあり、新しい脳卒中が起こるたびに段階的に症状が悪化していきます。

 

 

診断

① 頭のCTやMRIの画像検査で脳卒中があること

② 認知症の症状があること

 

この2つをもって診断されます。

 

MRI・CTスキャンのイラスト(女性)

 

つまり、脳卒中によって認知症が起こったと考えられる場合に、血管性認知症の診断となります。

 

 

症状

血管性認知症は認知症症状の他、脳の機能の低下による症状も一緒に起こることが多いです。

 

例えば、歩きにくい(歩行障害)や、身体の一部が動かしにくい(運動麻痺)痺れる(感覚障害)などの症状が初期から出現することもあります。

 

足腰が弱い高齢者のイラスト(男性)

 

意欲・自発性の低下、何かをしようとして上手くできない、怒りっぽくなる、などと言った「前頭葉症状」が起こりやすいです。

 

日本人に多い「小血管病変型」では、記憶力は比較的保たれやすいとされています。

 

健康な脳の部分も残っているため、症状には個人差があり、できることとできないことが混在する「まだら認知症」とも言われます。

 

 

アルツハイマー型認知症との違い

アルツハイマー型認知症はゆっくり発症して、ゆっくり進行していくのが特徴ですが、血管性認知症は、脳卒中が起こるタイミングで突然悪化しその後進行は収まり、そして新たに脳卒中を起こした際に一気に症状が進む、いわゆる「階段状」に進行していくのが特徴です。

 

 

また、先ほども説明したようにアルツハイマー型とは異なり、記憶力は比較的保たれやすいです。

 

しかし、多くの方が血管性認知症とアルツハイマー型認知症を合併しています(「混合型認知症」といいます。)

 

 

治療

急性期(発症して間もない)の脳卒中がある場合はそちらの治療を優先します。

 

それがなければこれ以上脳卒中を起こさないよう、予防を行いつつ、必要であれば症状を抑える薬の内服を行います。

 

具体的には以下の3つです。

 

1)血圧のコントロール

2)抗血栓薬の使用

3)その他

 

それぞれ少しご説明します。

 

1)血圧のコントロール

血圧が高すぎると脳出血を起こしやすいです。

 

一方で血圧が低すぎても脳の細い血管に血が通いにくくなります。

 

高すぎず、低すぎずの血圧管理に努めましょう。

 

アネロイド血圧計のイラスト

 

2)抗血栓薬の使用

脳卒中の原因に合わせて抗血栓薬を使い分けます。

 

血管にコレステロールの粒(プラーク)が溜まることでおこる「アテローム血栓性脳梗塞」の場合はアスピリンなどの抗血小板薬を飲みます。

 

心房細動などの不整脈のせいで血栓ができ、それが脳に飛んでしまうことで起こる「心原性脳梗塞」の場合は、ワルファリンやダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンといった抗凝固薬を飲みます。

 

他にも腎機能や、他の薬との飲み合わせ、内服回数、出血リスクなどによって薬を使い分けます。

 

総合的に判断してあえて薬を飲まない場合もあります。

 

サラサラの血が流れる血管のイラスト

 

3)その他

血管性認知症に対する特別な治療法はありません。

 

アルツハイマー病も合併している場合は、メマンチンなどのコリンエステラーゼ阻害薬が使用されることがあります。

 

脳卒中や血管の病気のリスクを高める病気(糖尿病や脂質高値など)がある場合は、必要に応じてこれらの生活習慣病を治療する薬を使います。

 

うつっぽくなってしまったり不安が強い場合は抗うつ薬抗不安薬を、不眠症状がある場合は睡眠導入剤を使ったりします。

 

その他、麻痺などがある場合は積極的にリハビリを行います。

 

リハビリをしている老人のイラスト

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

一口に「認知症」と言っても様々なタイプがあります。

 

生活習慣病に由来する血管性認知症は、見方を変えると、ある程度予防ができる病気とも言えます。

 

超高齢社会の日本では、認知症を含め、元気でない状態で長生きする方も少なくありません。

 

元気に長生きできるように、普段の生活を見直してみてはいかがでしょうか。

 

元気なお婆さんのイラスト

 

次はレビー小体型認知症について解説したいと思います。

 

それでは、また。

 

 

 

 

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